ポルトを検索したら、間違いなく『アズレージョ』という言葉に出会います。セラミックタイルの総称で語源は『青』という意味を含みます。ただ発祥の地はお隣のスペインです。タイルは多彩ですが、歴史的建築物では青一色使いの絵画的デザインタイルが多くみられます。

 アズレージョの代表格はサンベント駅のエントランスホール。旅行者の多くが、四方の壁の天井まで埋め尽くされたアズレーショの壁画に感嘆し、「ポルトに来た」ことを実感してから散策をスタートします。街のシンボルであり必見の空間です。

 歴史を紐解くと、装飾タイルで建物を飾るという習慣は、13~14世紀スペインアンダルシアで起こります。16世紀からはポルトガルでも装飾タイルがセラミック芸術として普及します。更に生産技術が発展した18世紀以降は、一般住宅の外壁に用いられ、19世紀には、駅、市場、商店、教会等様々な建築物に多用されるようになりました。

 実際、街を歩くと、外壁にタイルを使った家がとても多いことに気づきます。デザインは、幾何学模様や草花をモチーフにしたシンプルな絵柄の「カーペットスタイル」が主流です。当時の東洋のカーペットの絵柄に似ていることからの名称で、文献にはデザインや色彩の進化の過程で中国や日本の影響を受けているとありました。色調が日本の古色に似ていて、特に青は親しみと懐かしさを感じます。

 外観が美しいのは、アズレージョそのもの以上に、アイアンでの窓辺や玄関の精巧な細工、重厚な木製建具やガラスブロックとの絶妙なコンビネーションによるものだと思います。家によってそれらのデザインや組み合わせ方は違うのに路に連なる家の外観は統一感があって美しいのです。様式としては、アールヌーボーの影響を受けていますが、パリのような洗練された造形や、スペインの個性的な取り入れ方より、適度に庶民的で親しみやすいと感じました。特にLELLO書店ある界隈の街並みの美しさは秀逸です。

 ポルトの家並みを見ながら散策していると、懐かしい気分にさえなります。観光名所だけでなく、その周辺の街区に入り、住宅や商店ビルに目を向けながらの回り道をお勧めします。

ヨーロッパAI

ヨーロッパAI

ヨーロッパを旅して30年。建築やグルメ、ライフスタイルと幅広い分野で執筆。最近はエイジングライフを切り口にしたコンサルタントとしても活躍中 !