ポルトの真骨頂は何といってもドゥエル運河沿いに広がる景色です。丘陵地には同系色の屋根が何段にも連なり、対岸にはポートワインのシックな蔵が並びます。時々フェリーボートが往来しますが騒々しさはありません。オブジェがわりのカラフルな小船が停泊し、陽にきらめく水面に彩りを添えています。そして、その先には世界遺産のドン・ルイス1世橋が凛々しくそびえ立っています。

 どこを切り取っても絵になる景色をゆったり眺めながら過ごす河添いの時間は、ただただ心を満たしてくれます。カフェで思い思いに過ごす人、河辺に腰かけている人を遠目に眺めながら 「やっぱり、ポルトでよかった」と言葉にしたくなる充足感を味わいました。

 さらにポルトに来てよかったと感動することがもうひとつ。演奏家が街のそこかしこにいて、歩いているとどこからともなく音楽が流れてくることです。楽器も人も新旧様々、河添いの風と一緒に流れてくる音色が、なんとも心地よいのです。

 歩き疲れてたまたま入ったカフェでしたが(因みにポルトでは15000歩/日ペースで3日間歩きました)喉を潤し一段落してよくよく見たら、カフェのテラス席は仮設づくりです。ですが安普請(やすぶしん)には全くみえません。屋根代わりのテントは船の帆を水平に並べてかぶせるように施され、先端で引けばたためるようになっています。テントとテントの隙間は多少の雨では座席は濡れず、光と風は程よく抜ける、―風でテーブルのモノが飛んだり倒れたりしない程度になっている―ことに暫くして気づきました。

外で過ごす習慣がある街は、テラス席の作り方も洗練されていますし、人々もその場と時間の使い方を心得ていると思いました。

ヨーロッパAI

ヨーロッパAI

ヨーロッパを旅して30年。建築やグルメ、ライフスタイルと幅広い分野で執筆。最近はエイジングライフを切り口にしたコンサルタントとしても活躍中 !