ボリャン市場は観光客で賑わうドゥエル河とは逆の高台にあります。中庭を囲む鉄骨のバルコニーとアズレージョが印象的な2階建の伝統的屋内型市場です。
もともとは、19世紀中頃に露天市場が集まっていた場所で、20世紀初頭に新古典主義様式※の市場としてオープン、2022年に通りに面しては歴史的外観を踏襲しつつ現代的に大改修されました。市民のくらしを支える市場として3世紀に渡って進化し、今や魅力的観光名所になっています。
※古代ギリシャ・ローマの思想を復興した芸術運動建築。外観デザインには、ドーム・アーチ・円柱が使われる。



何が魅力的か?それは、生きたポルトを誰でも体験できるからです。観光客が地元客とポルトの日常に混ざり合って、美味しいものを探す、食べる喜びを感じられるのです。言ってみれば、バスクのバルでピンチョスを楽しむのと同じ感覚です。市場でも新鮮な魚介のピンチョスらしきもの、カップに入ったチーズやフルーツ、ワインのグラス売りもしています。ポルトガルのレストランは結構ボリューミーだったので、市場での立ち食い・立ち飲みは、私達にとって食事量の調整にとっても便利でした。
出店者は何世代にも渡る家族経営が多いそうで、店主とお客さんが会話を楽しむ姿も見られ、言葉はわからずとも温かい空気感は伝わってきます。それもバスクのバル文化に通じるところです。



ビルバオで訪れたリベラ市場と違うのは、朝昼晩で違った雰囲気・魅力を味わえることです。朝は最も市場らしい市場!地元客中心で新鮮な魚介類が多く並び常連さんが多い感じがします。ナタとエスプレッソを足早に買っていく人もいて、旅行客には市民の日常垣間見れる時です。

昼は観光客と地元客が混ざり合い、店のショーケース前や中庭で試食する人達であふれる時間帯に。夕方になると放課後の学生や勤め帰りの人が増えて、階段に座ったり、中庭に円陣を作ったりして、思い思いに仲間と過ごす軽食堂のようになります。夜は市場の生鮮食品売り場は閉店し、日暮れと共に2階のレストランに照明がともります。地元のファミリー連れや観光客が、市場で仕入れた食材を使った様々なテイストの料理をお勧めのポートワインと共に楽しむ場に変わります。



市場の周辺には、ベーカリーカフェや名だたるナタ専門店もあるので、是非湾岸沿いから足を延ばしてほしいポルト日常体験の場です。
ヨーロッパAI
ヨーロッパを旅して30年。建築やグルメ、ライフスタイルと幅広い分野で執筆。最近はエイジングライフを切り口にしたコンサルタントとしても活躍中 !
