「ポルトでも」とタイトルに書き足したのは、昨年訪れたスペインビスカヤ橋同様、世界遺産という単に「記念物」ではなく「今も使われてる」ことに敬意を表したかったからです。

 ドン・ルイス1世橋は主にポートワインの輸送経路のためにドン・ルイス1世の時代1886年にビスカヤ橋と同じくエッフェルの弟子によって設計されました。やはりエッフェルの鉄骨技術とデザインが生かされています。大変珍しいのは、二層構造の橋になっていることです。上層は電車(地下鉄)と歩行者(多くが観光客)の通行、下層は自動車と歩行者(市民)の通行です。ドウェル河をまたぐこの橋は両岸を一望できる観光スポットです。ビスカヤ橋のレリーフを思わせる繊細なデザイン、物静かないで立ちとは異なり、長年重要な交通網として貢献してきた風格、時代の流れに動じない存在感が魅力です。

 驚いたのは、その景色の素晴らしさ以上に、使われ方です。橋の巾は目測ですが7-8M程度。そこに地下鉄の往復2路線とその両サイドに歩行者の通路、つまり4つの路線があるわけです。写真で一目瞭然のぎちぎち設計です。建設当時の140年前はよいとしても、国際的観光名所となった今、同じように使い続けるのは日本ではあり得ないことでしょう。

 しかも 電車が往来しない時は好きに横断したり路線内を普通に歩いています。警備員らしき人は特に制止しません。境界にポールは立っていますが、人を追い越そうと線路側すり抜けたら電車とはスレスレの距離間です。これすべて自己責任での往来が街の運用なのです。

 リスクを優先して禁止するより、互いに注意しながらポルト屈指のロケーションを臨場感を持って楽しめる。その運用・判断は感動ものです。橋の桟も日本よりずっと低めなので、高所恐怖症の人はかなり怖いと思います。橋のふもとで眺望や人と電車の往来を楽しむこともできますが、行けるところまで橋を渡ってみる価値は大いにあります。

ヨーロッパAI

ヨーロッパAI

ヨーロッパを旅して30年。建築やグルメ、ライフスタイルと幅広い分野で執筆。最近はエイジングライフを切り口にしたコンサルタントとしても活躍中 !