グッゲンハイム美術館はとにかく圧倒的存在感です。感動して暫く何も言えず、外・中をいろんな角度からひたすら見て回りました。どこを切り取っても絵になる計算された美しさ。どうしたらこんなモノが造れるのでしょうか?フランク・ゲーリー様!暫く興奮が収まりませんでした。この歳にして久々の経験です。

少し落ち着いて、展示物やヒトに目がいくようになって気づいたのは、「独創的な美しさ」以上に、自由で寛容な優しい空間であることです。車いす利用者でも、子供でも、気ままに楽しめる美術館です。
回廊は、NYのグッゲンハイム美術館とは違って緩やかで、エレベーター動線は極めて合理的。子供が走ったり、展示物を触ったりしても、制止されることはほぼありません。展示は体験型のモノも多く、いろんな気づきと共に楽しめます。


美術館の顔パピーの佇まいは、「愛らしい」の一言。季節によって花を植え替える作業、美しく保つ管理はかなり大変だと思いますが、そんな気配は微塵もなく、綺麗な装いで歓待してくれています。その後スピズリ橋に向けて川沿いを散策し、遠景で眺めてわかりました。美術館が核となって、地域全体が有機的につながっているのです。街として人を惹きつけるエネルギーを肌で感じます。なぜこんな街づくりができるのか?調べずにはいられませんでした。


グッゲンハイムが、鉄鋼業・造船業の工業都市ビルバオから、サービス産業都市へ構造転換をはかる起爆剤がだったと知りました。1997年落成後3年間で400万人集客し、その経済効果は建築費を遥かに超えたそうです。その後ビルバオ市は美術館周辺の工業地域の転換を進めていきます。官民一体の都市づくりを世に示し、「ビルバオ効果」という言葉が生まれます。こんな、ワクワクする街づくりが目に見えて進みだしたら、市民も応援したくなるはずです。結果、こんな素敵な街を手にしたら誇らしく思うでしょう。ビルバオにまた来たいと思うのは、自信に満ちた街だから、元気を貰える街だからだと気づきました。


ヨーロッパAI
ヨーロッパを旅して30年。建築やグルメ、ライフスタイルと幅広い分野で執筆。最近はエイジングライフを切り口にしたコンサルタントとしても活躍中 !